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遺産分割協議

遺言がない場合において、相続開始後、相続放棄や限定承認をせずに3か月が経過すると、故人が死亡時に有していた一切の権利義務を法律に定められた相続人が、法律に定められた割合にしだがって共同相続することになります(相続人が複数名の場合)

 この段階において、遺産は相続人全員による共有ですが、この状態を解消するために、誰がどの財産を引き継ぐのかを話し合うことを遺産分割協議と言います。

 この協議には相続人が全員参加する必要があります。誰か一人でも参加していない方が存在すれば、その協議は無効となってしまいますので注意が必要です。

遺産分割協議をどのように行うのかについては,特に決まった方式はありません。相続人のなかのどなたかのご自宅等に集まって話し合うのが一般的ですが、多忙や遠方等により特定の場所に来られない方がいらっしゃる場合には、電話や書面によって協議することも可能です。

 ただし、どのような話し合いを行ったのかについては、後日に備えて、「遺産分割協議書」として書面に残しておきます。この書面は相続人の数だけ作成し、相続人全員のご署名およびご実印を押印し、各自1通ずつ保管しておくのが良いと思われます。

遺産分割協議の期限

 遺産分割の時期については、いつまでにしなければならないという期限はありません。故人が遺言で分割を禁止していない限り、いつでも分割協議をすることができます。

 ただし、相続税が課税されることが想定される場合には、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに協議を完了させたいものです。

 なお、これはあくまでも協議完了の目安であって、絶対的なものではありません。相続税申告期限内に協議がまとまらない場合には、相続税の計算は、遺産を各相続人が法定相続分で取得したものとして未分割財産の計算を行い、各相続人の納付すべき相続税額を計算します。その後、協議がまとまった段階で、当初の申告期限に提出した申告書に記載した相続税額に増減が生じたときは、修正申告(増額の場合)または更正の請求(減額の場合)をすることにより納税額の精算を行います。 

 とは言え、たとえば相続税の配偶者控除は、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象にはならないとされており(事前に申請を出せば税額軽減の対象となりますが)、また協議が長引けば遺産が散逸したり、利害関係人が増える可能性も出てきますので、やはりできる限り早い時期に分割協議を完了させることが望ましいです。

遺産分割の方法

 遺産が現金や預金のみであれば分割は簡単ですが、不動産が含まれているとなると、容易に分けることはできなくなります。実際には以下のような方法により、分割します。


①現物分割

 遺産の現物をそのまま分割するという方法です。たとえば、土地と家屋は長男に、預貯金は長女に、というように分割します。

 

②換価分割

 不動産などの遺産を売却して現金化し、それを相続人で分ける方法です。現物分割が難しい場合や遺産によって価値が均等ではなく、現物分割をすると不公平感が生じてしまう場合にこの方法が用いられることがあります。

 なお、換価分割をする場合、売却による現金化で得た金銭には、所得税が課税されることを念頭に置いておきましょう。

 

③代償分割

 遺産を相続人のなかの1人又は一部の者に取得させ、その代わりに、他の相続人に不足分を代償金として支払うという方法です。

以上の3つが主な分割方法ですが、これのみに限るというわけではありせん。相続人全員の合意があれば、上記以外の方法での遺産分割も当然に可能です。

 また、法定相続分に基づかない遺産分割も可能です。例えば、共同相続人が故人の子供A・B・Cの3人である場合、法定相続によればA・B・Cそれぞれが3分の1ずつ相続することになりますが、これをAのみが遺産を相続し、B・Cは相続しないとする分割方法も可能というわけです。

遺言内容と異なる遺産分割

  遺言がある場合、その遺言に無効事由がなければ、故人の死亡と同時にその遺言は効力を生じ、遺言で遺産を相続すると定められた相続人に権利が移転することになります。

 ただし、故人が遺言書を書いた時期と事情が異なっていたり、遺言書に書かれた内容と異なる分け方をしたほうが、相続人全員にとって合理的であるといった場合には、相続人全員の合意により、遺言と異なる内容での分割協議を成立させることもできます。

遺産分割協議の解除

 遺産分割協議は一度成立すれば、無効や取消の原因がない限り、原則としてやり直しすることはできません。
 たとえば、遺産分割協議で相続人Aが不動産を取得する代わりに相続人Bに代償金を支払うとする合意が成立したのに、相続人Aが代償金を支払わない場合であっても、遺産分割協議を解除してやり直しを求めることはできないとされています。この場合は、家庭裁判所において調停・審判手続きによって遺産分割を進めていくことしかできません。

 また、協議成立後に新たに遺産が発見された場合、その新たな遺産について、さらに遺産分割協議が必要となります。ただし、通常はこのような事態を想定して、遺産分割協議書に「後日、遺産分割協議書に記載がない新たな遺産が見つかった場合は、相続人○○が相続する」等の文言を記載しておいたりします。

 例外として、相続人の一部の人が故意に遺産を隠していたり(当該相続人は相続欠格者となり、相続する資格を失います)、新たな遺産が遺産全体の大部分を占めるような場合においては、従前の遺産分割協議の無効を主張することができます。
 以上のように、原則としていったん成立した遺産分割協議は解除できませんが、相続人全員の合意があればその合意によって従前の遺産分割協議を解除し、新たに遺産分割協議をすることができます。

 ただし、協議のやり直しによって遺産を譲渡された場合、贈与税の対象となるので、予め税理士に相談しておくことをお勧めします。

裁判手続きの利用

 何度も話し合ったが協議がまとまらない、何らかの事情により、相続人の中の一部の方が話し合いに参加するのを拒否している、などの場合においては遺産分割協議は完了しないことになります。

 このような場合は、裁判手続きを利用することになります。裁判手続きは調停審判の2種類があります。

 一般的には、まず調停を申立てます(最初に審判を申立することが禁じられているわけではありませんが、裁判所の職権で調停に付されます)。

 ここでも話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、裁判官が遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して、遺産分割方法を決定することになります。

 なお、調停では相続人同士の話し合いの場も持たれますが、審判になると相続人同士の話し合いは行われず、裁判所が公平に判断することとなります。 

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